「平和の少女像」展示中止を要請へ。あいちトリエンナーレを河村たかし・名古屋市長が視察

「少女像」の設置の展示中止を求めると発表しました。
|
Open Image Modal
「表現の不自由展・その後」を視察後、囲み取材に応じる名古屋市の河村たかし市長
HuffPost Japan

名古屋市の河村たかし市長は8月2日、愛知・名古屋市などで開催中の「あいちトリエンナーレ2019」内の企画展「表現の不自由展・その後」を視察した。同企画で展示されている「平和の少女像」について、即刻展示を中止するよう大村秀章・愛知県知事に申し出ると発表した。

従軍慰安婦を象徴する「平和の少女像」は、彫刻家キム・ソギョン、キム・ウンソン夫妻が制作した。2017年に韓国・釜山の日本総領事館前で設置された際には、日本政府が2015年末の日韓合意に違反するとして、駐韓大使の一時帰国日韓通貨スワップ協議の中断などに踏み切った。

河村市長は、少女像が設置されることを7月31日の夜に初めて知ったという。2日正午に同展を視察。その後囲み取材に応じ、「どう考えても日本人の、国民の心を踏みにじるもの。いかんと思う」と話し、作品の展示を即刻中止するよう愛知県知事に求めると発表した。

作家のキム夫妻は1日、ハフポスト日本版の取材に対し、少女像は慰安婦が戦時中、戦時後に受けた苦痛を表現したもので、「反日の象徴ではなく、平和の象徴です」と話している。

「平和の少女像」報道陣の撮影禁止に

名古屋市文化振興室によると、あいちトリエンナーレの事業には、市も職員を派遣しており、2019年度予算にも準備費用として約1億7000万円を計上している。

河村市長は、7月31日のレセプションで「表現の不自由展・その後」の内容を知ったというが、実物を見ておらず、8月2日の視察で確認した。

愛知県文化芸術課トリエンナーレ推進室は2日、反響を受けて、今後は報道陣に対して「平和の少女像」の撮影を禁止するよう求める。

撮影禁止とした理由について担当者は「作者に対する反応や、作品を見たことのない人がこの作品で『心苦しい』と思う可能性がある。そのため、今後露出を少なくしたいという趣旨です」と答えた。

一般への対応については、「表現の不自由展・その後」の会場全体で、来場者が作品の写真と動画をSNSに投稿することを禁止している。SNSの「炎上」が進行し、展示会の安全に影響が出ることを懸念したという。

《情報が入り次第、記事をアップデートします》

Open Image Modal
あいちトリエンナーレ「表現の不自由展」に展示された「平和の少女像」
Aya Ikuta/Huffpost Japan

「自制的に振舞っていただきたい」津田大介氏は記者会見

事態を受け、「あいちトリエンナーレ2019」で芸術監督を務める津田大介氏が2日夕方、名古屋市内で記者会見を開いた。

津田氏によると、同芸術祭の事務局には抗議の電話やメールが殺到しており、なかにはテロ予告や脅迫ととれるようなものもあるという。

少女像の撤去・展示中止については、同展の実行委員や関係者と協議中という。津田氏は、「今後もこの状態が続き、来場者および職員の安全が危ぶまれる状況が改善されないようであれば、企画自体の変更を含めた何らかの対処を行うことを考えている」と説明。

その上で、「日本が自国の現在または過去の負の側面に言及する表現が安全に行えない社会となっていることを内外に示すことの意味を、よく考えていただいて、自制的に振舞っていただきたいと思っております」と呼びかけた。

【追記:2019/8/2 18:20 津田大介さんの記者会見内容を追記しました】