ボジョレー・ヌーヴォー解禁。盛り上がっているのは日本だけ?解禁日が11月第3木曜日の理由とは…

11月18日午前0時、2021年のボジョレー・ヌーヴォーが解禁されました。あまり知られてないトリビアをお届けします。
ボジョレー・ヌーボーのイメージ写真(2017年11月にパリで撮影)
ボジョレー・ヌーボーのイメージ写真(2017年11月にパリで撮影)
Benoit Tessier via Reuters

11月18日午前0時、2021年のボジョレー・ヌーヴォーが解禁された。日本では時差の関係でかつて「先進国の中で一番早くボージョレ・ヌーボーが飲める国」と話題になって、一大ブームを引き起こした。

しかし、実際には解禁で盛り上がるのは日本だけの現象で、ボジョレー・ヌーヴォーの輸出量の半分は日本が占めているという。

また毎年、11月の第3木曜日が解禁日と定められているのにも理由があった。今さら聞けない、ボジョレー・ヌーヴォーのトリビアをお届けしよう。

■ボジョレー・ヌーヴォーとは?実は「解禁」で盛り上がっていたのは日本だけ

ボジョレー・ヌーボーとは、フランスのボジョレー地区でつくられる「ヌーヴォー(新酒)」という意味だ。ワインは9月から10月にかけて収穫されたぶどうを潰して発酵させ、しばらく寝かしてから出荷される。

プレミアムワイン代表取締役の渡辺順子さんのダイヤモンド・オンラインへの寄稿によると、ボジョレー・ヌーヴォーの熟成期間は例外的に短く設定されているという。

<たとえば、ボルドーでは赤ワインで12~20ヵ月、白ワインでは10~12ヵ月の樽熟成が定められています。一方でボジョレー・ヌーボーは、わずか数週間の熟成期間で出荷していいと決められており、その最初の出荷日が「解禁日」と呼ばれる11月の第3木曜日なのです>

この記事では、ボジョレー・ヌーヴォーの「解禁」で毎年盛り上がるのは日本だけの現象だとしており、渡辺さんも以下のように指摘している。

<ボジョレーで生産されるワインの約半数は国外に輸出されていますが、ボジョレー・ヌーボーに関してはその大半が日本への輸出だそうです。ちなみに、私も同じ時期にパリに滞在していたことがありますが、日本のようにヌーボーをお祝いしている光景はほとんど見られませんでした。>

朝日新聞デジタルは11月18日、ワイン大手メルシャンからの情報として、ボージョレ・ヌーボーは輸出量の半分ほどを日本向けが占めるが、日本の輸入量も近年は減少傾向だと報じた。2020年はピークだった2004年の3割ほどだったという。

■解禁日は2回にわたって変更。その理由は?

このボジョレー・ヌーヴォーの解禁日だが、2回にわたって変更されている。

フランス政府によって当初は11月11日、その後は11月15日になっていたが、1985年に「11月の第3木曜日」に変更されたという。

祝日に近い日を選んでいたが、特定の日を設定すると土日にかぶることがあるため、「第3木曜日」にしたという。「エスクァイア」日本版では次のように書いている。

<実は、当初は11月11日が「ボジョレー・ヌーヴォー」の解禁日でした。この日は、カトリックの祝日のひとつである『聖マルタン(聖マルティヌス)の日』に当たるということで、縁起の良い日をされていたようです。ですがその後、フランスでは11月11日が『休戦記念日』となったのです。その日からいちばん近い縁起の良い聖人の日を探した結果、11月15日の『聖タルベールの日』があり、この日を解禁日にする案が有力となりました。しかし、11月15日を解禁日にすると、当日が土曜・日曜になることもあり、運送業者が休みの場合も…。その結果、1985年にフランス政府は「ボジョレー・ヌーヴォー」の解禁日を「毎年11月の第3木曜日」に定めました。>

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