シビックテックで全国のマンホールを把握せよ。老朽化が進むインフラの保守・管理に貢献

マンホールの蓋の写真を、市民の力を借りて収集する取り組みが全国で始まりました。背景には、日本のインフラの老朽化の問題があります。
11月20日に始まった「第4回 #マンホール聖戦 〜全国出陣祭り〜」
11月20日に始まった「第4回 #マンホール聖戦 〜全国出陣祭り〜」
Whole Earth Foundation提供

東京23区から全国展開へ。

老朽化が問題となっているマンホールの蓋の写真を、市民の力を借りて収集する取り組みが全国で始まった。

NPO「Whole Earth Foundation」(WEF、シンガポール)とマンホール蓋などを製造する日本鋳鉄管が企画。全国のマンホール蓋を対象に、市民が専用のスマートフォンアプリで写真を撮影して投稿する。総額150万円以上の賞金が用意されており、いわば市民参加型のゲームイベントだ。

イベントは「第4回 #マンホール聖戦 〜全国出陣祭り〜」。11月20日に始まり、12月12日まで開催される予定だ。

背景には、日本のインフラの老朽化がある。日本グラウンドマンホール工業会(東京)によると、全国の約1500万カ所のマンホール蓋のうち、30年以上経過したものが約300万カ所あると推計されている。

劣化した状態で放置しておけばスリップ事故などにつながる恐れがあるが、自治体が限られた人員と予算の中で更新すべきマンホール蓋を全て把握するのは難しい。

この事態を踏まえ、WEFはアクションゲームアプリ「鉄とコンクリートの守り人」を開発。市民の協力を得ながら、東京都渋谷区を皮切りに、東京23区などでマンホール蓋の画像を収集してきた。

こうした取り組みは「シビックテック」と呼ばれている。シビック(市民)とテック(テクノロジー)を組み合わせた造語で、市民がITなどのテクノロジーを活用して社会課題の解決を目指すのが特徴だ。

WEFの森山大器最高経営責任者(CEO)は「我々の足元にあるマンホールも老朽化しているインフラの一つ。ひび割れや破損しているマンホールが足元にあるかもしれない危険な状態だ」と指摘。「この開発したゲームによって、マンホールの異常を事前に察知できれば、更新の優先順位が分かり、 重大事故を未然に防ぐことができる」と話している。

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