サンタと中年男性のラブストーリーに反響。同性愛が非犯罪化して50年、ノルウェー郵便局のクリスマス広告

年に一度だけ、毎年クリスマスの夜を一緒に過ごすようになった2人の男性。ノルウェーの郵便サービス「Posten」が発表した、4分ほどの動画が賞賛を集めています。
「When Harry met Santa」の1シーン
「When Harry met Santa」の1シーン
Postenの公式YouTubeより

クリスマスまで1カ月。

ノルウェーの郵便サービス「Posten」が発表した、4分ほどのクリスマス広告の動画が賞賛を集めています。

タイトルは、1980年代のアメリカ映画『When Harry Met Sally...』(邦題:恋人たちの予感)からとったと思われる『When Harry met Santa』。登場するのは、ハリーという名の中年男性とサンタの2人です。

あるクリスマスの夜、家にやってきたサンタを気に掛けるようになったハリー。毎年サンタがやってくる様子をこっそりと伺っていましたが、ある年おしゃれをしてサンタを待つことに。ソファーで眠ってしまっているところを、サンタから「いびきをかいているね」と話しかけられ、2人は初めて会話を交わします。

サンタは、来年もまた戻ってくることを約束して、帰っていきました。

その後ハリーとサンタは年に一度だけ、毎年クリスマスの夜を一緒に過ごすように。それ以外の日、ハリーは孤独を感じながら生きていました。

数年が経ちハリーはついに決心し、サンタ宛に「クリスマスにほしいのはあなただけだ」という手紙を書き…。最後は、2人のキスシーンで締めくくられます。

ゲイ男性のラブストーリーを描いたこの動画は、ノルウェーで同性愛が非犯罪化されてから、2022年で50年目を迎えることを記念して作られたもの。英紙「ガーディアン」によると、ハリーを演じた俳優のヨハン・エーンさんは、同性のパートナーと結婚しているといいます。

LGBTQに関する情報を発信する「LGBTQ Nation」のインタビューで、Postenでマーケティングディレクターを務めるモニカ・ソルバーグさんは「Postenは多様性に富んだ包括的な職場であり、この素晴らしいラブストーリーで50年を祝いたいと思います」とコメント。この動画の目的はPostenが「自分自身の更新を決してやめないと示すこと」だと説明しています。

一部から否定的な反応があがるだろうこともわかった上で制作したとソルバーグさんは話します。「クリスマスと政治的な問題を混ぜこぜにしている」などという意見には、こう考えを示しています。

「誰もが自分が好きな人を愛する権利があり、それは基本的人権です。2021年の自由で民主主義な社会において、それは政治的問題とはみなされません」

公開されると、ネット上では「とても美しい」「力強く、そして進歩的で素晴らしい」「この短い4分間に励まされた」などのコメントが多数寄せられ、大きな反響を呼んでいます。

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