赤ちゃんの議会同伴を「規則違反」と注意された議員、「あらゆる人にとって機能するシステムではない」と指摘

イギリス・労働党のステラ・クリーシー議員。これまでは、注意を受けることなく議場に子どもを連れて行くことができていたという。
子どもを連れて議場に出席した労働党のステラ・クリーシー議員(2021年11月)
子どもを連れて議場に出席した労働党のステラ・クリーシー議員(2021年11月)
House of Commons - PA Images via Getty Images

イギリスの国会で、赤ちゃんを同伴して下院議会の議場に出席した議員が「規則に違反する」と注意を受ける出来事があった。

議員は「私たちの政治や政策立案は、もっと多くの母親が参加することでより良くなる」と指摘。規則のあり方や子育て中の議員の政治参加について問題提起している。

■規則に「子どもを同伴するときは議場に座るべきではない」

赤ちゃんを同伴したのは、野党・労働党のステラ・クリーシー議員。

BBCによると、クリーシー議員は11月23日、ウェストミンスターホールでの審議に、母乳育児中の生後3ヶ月の子どもを同伴して出席した。すると、「規則に違反している」と注意されたという。

クリーシー議員はその後、自身のTwitterで「どうやら議会は、私が議場で話すとき、行儀の良い、生後3ヶ月の眠っている赤ちゃんを連れて行けないことを意味する規則を書いたようです」「すべての議会の母親(国会)の中にいる母親たちは、姿を見せたり話を聞いてもらったりすることはできないようです…」とコメントした。

同じTwitterの投稿で、歳入委員長の秘書官から自身宛に送られたメールも公開。メールには「子どもを同伴する際には議場に座るべきではない」とする規則が引用されていた。

この規則は、2021年9月発行の下院における行動を定めた規則(Rules of behaviour and courtesies in the House of Commons)の中に盛り込まれているもの。

赤ちゃんや幼児を同伴する際には、議場に座ることはできないとしている。

だが、英紙ガーディアンによると、9月以前の規則にも同様のルールがあったが、クリーシー議員は注意を受けることなく議場に子どもを連れて行くことができた。

一連の出来事を受けて、リンジー・ホイル下院議長は下院の議事手続き委員会に規則の見直しの検討を求めた

クリーシー議員はBBCの取材に「特定の年齢、特定の背景をもった男性ではないあらゆる人にとって機能するシステムではない。私たちの民主主義にとって悪い影響がある」と指摘。

赤ちゃんが生まれた後も、頭を使い、物事を進めることを諦めていないとし、「私たちの政治や政策立案は、もっと多くの母親が参加することでより良くなる」と述べた。

クリーシー議員は第2子の出産後、育児休業中に代理人を雇うことが承認されなかったことを受けて2021年9月の議会でも赤ちゃんを連れて発言をしていた。

■ニュージーランドでは議長が赤ちゃんを抱く場面も

ニュージーランドの議会では2019年8月、議員が前月に生まれたばかりの赤ちゃんを連れて登院。

トレヴァー・マラード議長が赤ちゃんを抱き、哺乳瓶でミルクを与えながら議事を進める場面もあった

同国のジャシンダ・アーダーン首相は2018年9月、生後3ヶ月の赤ちゃんを連れて国連総会の会合に出席。パートナーのクラーク・ゲイフォードさんも同伴し、赤ちゃんをあやす姿が注目を集めた

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